2024年6月、株式会社セガの2024年3月期(第66期)決算が大きな話題になりました。
売上高は1866億5500万円、営業利益は23億4500万円、経常利益は74億3800万円。そして最終損益は66億5000万円の赤字。
前年は114億8800万円の最終利益を計上していただけに、ネット上では「セガは大丈夫なのか?」という声も相次ぎました。
しかし、この数字だけを見て「セガのゲームが売れなくなった」と判断すると、実態を見誤ります。
大きな要因となったのは、『HYENAS』などの開発中止を含む欧州コンシューマ事業の大規模な構造改革でした。
セガが66億5000万円の最終赤字に
株式会社セガが公開した第66期(2024年3月期)の決算公告では、以下の業績となっています。
- 売上高:1866億5500万円
- 営業利益:23億4500万円
- 経常利益:74億3800万円
- 当期純損失:66億5000万円
営業利益も前期から大幅に減少し、最終損益は赤字へ転落しました。
当時の掲示板では、他の大手ゲーム会社でも開発中タイトルの見直しが相次いでいたことから、ゲーム開発費の高騰を心配する声が出ています。
スクエニもバンナムもセガも開発中止による特別損失ばっかだな
一体何を作ってたんだろうな。
大きな要因となった欧州事業の構造改革
セガサミーホールディングスは、欧州地域のコンシューマ事業について、コロナ禍における巣ごもり需要の反動減やインフレなどによって収益性が悪化したと説明しています。
そこで欧州拠点のタイトルポートフォリオを見直し、一部タイトルの開発中止や固定費削減などの構造改革を実施しました。
その象徴となったのが、Creative Assemblyが開発していたマルチプレイシューター『HYENAS』です。
『HYENAS』は開発中止となり、さらに未発表だった開発中タイトルの一部も中止されました。
去年開発中止と欧州スタジオ再編ニュースになったでしょ…
HYENASっていくらかかってたんだろう
複数タイトルだから1本辺り不明だけども
「129億円のゲームを1本中止」ではない
元記事では129億円規模の事業再編損が注目されていましたが、後にセガサミーが公開した資料を見ると、構造改革は複数の施策によって構成されていたことが分かります。
2024年3月期における欧州構造改革のPL影響額は合計244億円でした。
- タイトル資産価値の再評価:約66億円(売上原価)
- 『HYENAS』を含む一部タイトル中止:約92億円(特別損失)
- 人員削減・オフィス削減:約40億円(特別損失)
- Relic Entertainmentの譲渡:約44億円(特別損失)
つまり、巨額の損失を「1本のゲームに129億円を使って中止した」と単純に捉えることはできません。
開発中止だけでなく、スタジオ再編や人員・オフィス削減、事業譲渡などを含めた欧州事業全体の立て直しによるものです。
特損でっか
ゲーム作りが肥大化してるから中止にすんのも大変やな
『龍が如く8』『ペルソナ3 リロード』は好調だった
ここで重要なのは、2024年3月期にセガのゲームが全面的に不調だったわけではないことです。
セガサミーによると、国内スタジオが開発した『龍が如く8』と『ペルソナ3 リロード』は、それぞれシリーズ最速で100万本を突破。
さらに『Football Manager 2024』や『ユニコーンオーバーロード』も高い評価を受け、販売は好調に推移していました。
当時の掲示板でも、発売タイトルを見ると「なぜこの業績になったのか」と疑問を持つユーザーがいました。
最近のセガ
龍が如く7外伝
龍が如く8
ユニコーンオーバーロード
ペルソナ3リメイク
真女神転生VV
このラインナップでなにが駄目だったんだろう
実際には、国内の主力タイトルの販売状況とは別に、欧州コンシューマ事業の収益性悪化と構造改革が業績を大きく押し下げていたわけです。
その後、欧州事業の構造改革は完了
では、2024年に大きな損失を出してまで行った構造改革は、その後どうなったのでしょうか。
セガサミーは2024年10月、フランスのAmplitude StudiosをMBO(マネジメント・バイアウト)方式で譲渡。
これをもって、一連の欧州事業の構造改革は完了したと説明しています。
同時にCreative Assemblyの主力IPである『Total War』シリーズでは、ユーザーコミュニティとの対話強化やDLC投入などによって、本編を含めた販売が改善。
セガサミーは2025年3月期について「構造改革を完遂、『Total War』ブランドの復活」と総括しています。
一方ですべてが順調だったわけではなく、『Football Manager 25』は開発中止となりました。
欧州事業では現在も、タイトル数を無制限に増やすのではなく、強みを持つIPへの「選択と集中」を進める方向性が鮮明になっています。
開発途中で中止する判断は悪いことなのか?
ゲーム開発の大型化によって、ひとつのタイトルに必要な人員、開発期間、予算は大きくなっています。
そのため、開発が進んだタイトルを中止すれば巨額の損失が発生する一方、採算が取れないと判断したゲームを完成まで作り続ければ、さらに損失が拡大する可能性もあります。
実際にセガサミーは欧州事業の改革で、単なるタイトル中止だけではなく、開発プロセスそのものを見直し、「客観性ある品質・市場性評価」を強化する方針を示しました。
完成させることだけを優先するのではなく、開発途中でも市場性を判断し、必要なら中止する仕組みを強化した形です。
GAME速AI分析:問題は「赤字」より開発体制の大型化
2024年当時は「セガが66億円の赤字」という数字が強く注目されましたが、その後まで追うと見え方はかなり変わります。
『龍が如く8』や『ペルソナ3 リロード』など主力タイトルには好調な作品があり、大きな問題を抱えていたのは主に欧州コンシューマ事業でした。
そこでセガサミーは『HYENAS』を含むタイトルの開発中止、人員・オフィス削減、スタジオ譲渡、開発プロセスの見直しまで実施しています。
特に注目したいのは、単に「売れそうなゲームを作る」という話ではなく、開発途中で品質や市場性を客観的に評価する体制へ踏み込んでいることです。
ゲーム開発が大型化すれば、企画を一本外したときの損失も大型化します。
だからこそ、どこまで作り込むのか、どこで開発を止めるのか、どのIPへ人員と予算を集中するのかという判断が、以前以上に重要になっているのかもしれません。
まとめ
2024年3月期、株式会社セガは66億5000万円の最終赤字となりました。
しかし、その背景には『HYENAS』などの開発中止を含む欧州コンシューマ事業の大規模な構造改革がありました。
欧州構造改革による2024年3月期のPL影響額は合計244億円。一方、『龍が如く8』『ペルソナ3 リロード』など国内スタジオの主力作品は好調でした。
その後セガサミーは欧州事業の構造改革を完了し、『Total War』シリーズでは改善効果も確認されています。
当時の「セガは大丈夫なのか?」という話だけで終わらせず、その後の立て直しまで含めて見る必要がありそうです。
管理人コメント
最近のゲーム開発って、単純に開発費が高くなったというより、ひとつのタイトルにかける人数が多すぎたり、細かい部分へのこだわりにお金と工期を使いすぎたりしているのも問題なんじゃないかなと思います。
開発者インタビューを読んでいても、「そこはゲームとしてはおまけの部分じゃないの?」と思うところに、ものすごい技術や時間を投入している話を結構見かけるんですよね。
もちろん、お金と時間をかければ細かいところまで作り込むことはできます。でも、それで開発期間や予算が膨れ上がって、最終的にゲームそのものを中止することになったら本末転倒です。
だから今のゲーム業界は、「できるからやる」ではなく「本当にそこまでやる必要があるのか」を考えて、開発する部分と削る部分をしっかり取捨選択し直す時代に来ているんじゃないかなと思います。
情報元
株式会社セガ 電子公告
セガサミーホールディングス「コンシューマ分野における構造改革について」
セガサミーホールディングス「欧州構造改革の実施及び損失の計上について」
セガサミーホールディングス 2024年3月期 決算説明資料
セガサミーホールディングス 2024年3月期 SS通信
セガサミーホールディングス 2025年3月期 第2四半期決算説明資料
引用元:5ちゃんねる
https://krsw.5ch.net/test/read.cgi/ghard/1719463877/
